Monday, May 25, 2009

映画祭:The White Ribbon

今年のパルムドールに輝いた作品です。ハネケ監督は、ピアニストなどを手がけたオーストリア人。
(ピアニストは今回の審査員長である、イザベル・ユペールが主演した作品)

第一次大戦前のドイツ。ファシズムや、プロテスタントの厳しい教えもあり、子供や女性に対して重苦しいほどの権威、しつけ、体罰などが当然のようにあった時代です。白いリボンとは、プロテスタントの教えなのか、態度の悪い子供に親がつけるリボンの事。親が「治った」と認めるまで身に着けないといけません。ある村で奇妙な事件が次々と起こります。その真相を突き止めるのですが。。。背景には、本当の真相を突き止めようとはせずに、都合の悪い事を隠す大人たちが見えてきます。

とても重苦しい題材ですが、パルムドールを獲得するだけ説得力のある内容です。
インタビューで監督は、ファシズムの最中、権威で押さえつけられ、体罰、虐待に耐えていた当時の子供達が、その後第二次大戦で大人になり更なる虐待をしたのだろう。彼はそれを描きたかったと言っていました。全編白黒である事についても、19世紀までは絵画などで色付で当時を垣間見る事は出来た。20世紀初頭というのは、白黒写真でみる事が出来る。色はあえてつけないほうが、実際の当時の状況と不自然なく観客に見せる事ができるのではないか。という事でした。

オーストリアで20年以上も自身の娘を監禁し、7人以上の子供をもうける父親が逮捕された事件もありましたが、こういう屈折した人間を作り出した原因の一つをこの映画で観た気がしました。

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